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小説未来ブログ18 [お笑い]

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 致命的な化石燃料の枯渇が起こったのが7年前。5年前からは国内の道路を個人のガソリン車が走ることはまずない。たまーに旧式のプラグインハイブリッド車が走っているが妙にお金を持っていると疑われチンピラに襲われるのがオチである。今走っているのはソーラー電力で走るミニ電動バイクと自転車くらいのものだ。電力は100%国の管理となり工業生産と公共交通機関の動力源としてのみ使われる。道路が空いてきたお陰で交通事情は格段によくなり無人の電動市営バスは秒単位で定時運行が可能だ。空気も綺麗になり昔の光化学スモッグなど大気汚染が嘘のようだ。ただ10年前から起こりかけていた地球の磁気極の切り替わりはこの星自身の防御体制を弱め太陽フレアなどの有害放射線に曝され易くなっている。従って自転車に乗るときのウェアは昔とは全く比べ物にならないくらい密閉度が高い。20年前に合成方法が発見された「放射線、電磁波を60dB遮断できる高分子ポリマー」によって人間やペット、家畜、あらゆる生き物たちを守るために衣服やヘルメット、手袋、シューズ、建物の外壁、内装、庭のシールド、ビニールハウス、などなどありとあらゆるシールド材としてに使用することで守っている。いや今やこれ無では生物は生きていけない星になっている。世界気象センターの予測によればもう5年もすると完全に南北の極が入れ替わり再び地球のシールドは保たれるようになるという。今は過渡期、油断は禁物だ。まあそれでもこの高分子ポリマーのお陰で全身を覆われながらも温度湿度調節もされ快適である。まるで第二の皮膚を手に入れたかのように。昔冬になるとWiggleで冬物ウェアをポチポチしたことが懐かしい。

 さてまるで往年のとんねるずのギャグ「もじもじ君」よろしく全身高分子ポリマーウェアで包まれた私とすいすいさんとtac-phenさんの3人は姶良ICから九州縦貫自転車道に乗り込み一路熊本を目指した。空気も直接吸い込むことは危険でエアーフィルターつきのマウスピースを全員咥えている。今日は天気もよく3人とも快調に飛ばす。8年前に開発された超伝導ハブのお陰でハブにおける摩擦はゼロとなり私のような貧脚でも40km/hAveが可能となった。途中休憩地の山江SAに寄ろうとバイクを左に寄せようとした瞬間事故は起こった。私の左側から電動バイクが我々3名を抜きにかかっていたのだ。接触したかしないかのタイミングでパーンという拳銃のような乾いた音、転がる体、漂う火薬臭、100mほどSA内の誘導路を転がり車止めに当たって止まった。

すいすいさん:「うんせ、よいしょ、大丈夫ですか?派手に吹き飛んだけど」

tac-phenさん:「いやー泡だらけ。初めて見たわーこんなんなるんやねー」

衝突の衝撃でCAAD40(まだアルミかいという突っ込みはなしの方向で)の落車防止装置が作動、衝撃防止の高分子ポリマー製の泡に包まれて転がっていった。2020年代に開発された自転車用エアバッグのようなものだ。現代では改良に改良が重ねられ完全に全身が包まれるため余程変な姿勢で落車しない限り全身を自転車ごと高分子ポリマーに包まれて球体になるので自転車乗りが大怪我をすることは皆無となった。

moumou:「ふー、助かったよ。向こうもレーダーが働いて回避できたみたいだし、よかったー」

tac-phenさん:「それにしても抜くんやったら右側から抜かんとねえ。今も昔もこれだけは変わらんはずや。」

まあ危うい事故はあったが何とかクリア。山江SA内のバイクステーションでエアバッグの補充と点検をしてもらう。今やこういったバイクステーションは各SAに必ず設置されている。その間、腹の減った3人はラーメン屋を物色。

moumou:「とんこつラーメン替え玉自由で1000円。安ー。ここどう?すいすいさん。あれ?どこ行った?」

tac-phenさん:「ほらほら、あそこ。また女子高生の集団にくっついてるしー」

すいすいさん:「ねえ、ほら右手が金の玉。左手にあるのが銀の玉。これをこうして、はい金の玉はどっちだー?」

女子高生:「キャー、こっちー」

すいすいさん:「残念でしたー。こっちーは銀の玉。じゃあ本物の金の玉はどこに行ったんでしょうね?どへへへ本物はおじさんが・・・」

tac-phenさん:「こーら、すいすい、柱に縛りまっせ!もう!」

moumou:「しかもあれ女子高生ではないでしょう?セーラー服は着てるけどオカマクラブのライダーでっせ。目も悪いしねえ」

バイクのメンテも出来上がり山江SAの楽しい一時は過ぎていった。さあて先を急がねば。つづく・・・

 


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