SSブログ

鹿児島の郷中教育 [雑感]

 1月に出水の武家屋敷を訪れた時にボランティアガイドの方から出水の兵児(へこ)修養の掟というものを紹介されました。あの時はあまり時間がなくて記事にしていなかったのですが非常に重要なことだと思うので改めて記事にします。出水兵児の「兵児(へこ)」とは青少年のことで,数え年6~7歳から14歳の8月までを「兵児山」と呼び,それから20歳の8月までを「兵児ニ才(へこにせ)」,30歳までを「中老」と,三つに区分していました。兵児教育の重点は「兵児山」と「兵児ニ才」におかれたことはもちろんです。

☆出水兵児修養掟

 いずみ  へ こ  しゅうようおきて

出水兵児修養掟

 し    せつぎ     たしな              そうろう

士ハ節義を嗜み申すべく候。

       たしな                          いつわ                    わたくし  かま           こころすなお

節義の嗜みと申すものは口に偽りを言ハず身に私を構へず,心直にし

  さほう                           かみ   へつ        しも   あな             かんなん  

て作法乱れず,礼儀正しくして上に諂らハず下を侮どらず人の患難を

         おの    やくだく   たが         か  い          たのも       かりそめ      しもざま

見捨てず,己が約諾を違へず,甲斐かいしく頼母しく,苟且にも下様の

いや                           はし             たとえはじ           くびは

賎しき物語り悪口など話の端にも出さず,譬恥を知りて首刎ねらるゝと

  おのれ      な                                   ひとあし             そのこころてつせき

も,己が為すまじき事をせず,死すべき場を一足も引かず,其心鐵石の

ごと        おんわ  じ あい              あわ              なさけ         もつ         たしな

如く,又温和慈愛にして,物の哀れを知り人に情あるを以て節義の嗜み

            なり

と申すもの也。  

これを現代文に訳すと

 人は正しいことをしないといけない。

 正しいこととは,うそを言わないこと,自分よがりの考えを持たないこと,素直で礼儀正しく,目上の人にぺこぺこしたり目下の人を馬鹿にしたりしないこと,困っている人は助け,約束は必ず守り,何事にも 一生懸命やること,人を困らせるような話や悪口などを言ってはいけないし,自分が悪ければ首がはねられるようなことがあっても弁解したりおそれたりしてはいけない,そのような強い心を持つことと,小さなことでこせこせしない広い心で,相手の心の痛みが わかるやさしい心を持っているのが,立派な人と言えるのです。

 

 何か現代人の教育に大事な柱が抜けているとよく言われますがこういう部分なんでしょうね。こういう話を持ち出すとすぐに時代錯誤だとか男尊女卑だとか言われるわけですが昔の薩摩の男たちは子供時代からこういう教育を受けて国防というものを真面目に叩きこまれてきたのですね。今読んでも一点の曇りもない立派な教えです。

 薩摩藩でも出水は一番腕に覚えのある達人を集め北の要所を固めたのですね。男尊女卑の元々の始まりはこういう厳しい教えを忠実に守り命懸けで国の婦女子を守る男たちを敬い引きたてる考え方があったのですね。ベースにこういう立派な教育と実践があればこそなんですよね。男尊女卑というと何となく鹿児島の男は威張り散らしているという誤解を招きますがそうではなくてこういう厳しい精神修養をして命懸けで国を守る男に対する尊敬の形からだと思います。従ってそういう気概のない男は男尊される資格もないわけですね。

 今の学校教育に足りないもの、それがここにはあるように思います。こういう教育は戦後GHQによって断たれたわけですがまた復活させることも考えていくべきですね。


nice!(5)  コメント(6) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。