小説未来ブログ21 [お笑い]
前回までのお話はこちら。
カレーパンマンさんを先頭に南阿蘇村を疾走する一行。阿蘇の火口に出没するという噂の二人を探して走ります。耐放射能高分子ポリマーシートで頭からつま先まですっぽり覆われているのだが阿蘇の雄大な景色や風の音、鳥のさえずりは感じることが出来る。20年前の原発事故の影響で放射能汚染が進み裸で外を走ることは出来なくなったが密閉式のゴーグルの中には最新式のヘッドマウントディスプレイが装備されまるで裸眼で見るように外部の情報が入ってくる。速度、走行距離、ケイデンス、斜度、路面状況、気温、放射能線量欲しい情報は全て画面右上に出てくる。何の操作も要らない、頭で考えるだけで画面に出せるようになっている。このゴーグルのお陰で昼夜関係なく走ることが出来る。ライトは視認用というよりもむしろ自分の存在を他に知らしめるためにあるようなものだ。途中何台かの電動バイクや電動トラックとすれ違った。まだそれらしきMTBはみかけない。しばらく走ると音声メッセージが届く。イヨッキュさんからだ。
イヨッキュさん:「えー、今鳥栖を通り過ぎました。ramuのオジキとユッキンさんが一緒です。3時間くらいで合流できると思います。阿蘇に入ったらまた連絡します」
この辺りの道路は斜度がきつい。少しペースを落としながらゆっくり登る。道の左には阿蘇の火口が見えてきた。右手には広大な屋根付きの牧場が広がる。周囲は何もないように見えるがエアーカーテンで遮断されているので内部にはチリは一切入ってこないようになっている。これで屋根がなければ昔と何も変わらない景色なんだが。おー、牧場の柵の辺りで休憩している二人連れがいる。こーじさん親子だった。U太君ももう30代半ば。こーじさんも3人の孫のおじいいちゃんだ。いつまでも親子で走れて羨ましい。
カレーパンマンさん:「こーじさん、お久しぶり。こないだの宮崎アースライド20以来かな?足の調子はどうですか?」
こーじさん:「皆さんどうもお久しぶりです。いつも一緒に行くのはいいんだけどU太に置いてきぼりを食らってついていくのが大変ですよ。さっきこのさきでcharingoさんみたいな人を見かけたんで声をかけようとしたんですが何かから必死に逃げているような感じで捉まりませんでした。おまけに火口の中に消えていったんでMTBじゃないとありゃあ追えないですね。」
tac-phenさん:「そうなんや、やはり噂は本物みたいやねえ。hayazouはん出番でっせ!」
hayazouさん:「見つけたらロックオンですよ、逃しません」
こーじさんが見かけたという場所まで案内してくれるというのでしばらく行くと放射能で異常成長したのだろうか馬鹿でかい竹林が広がっている。噴火口の中に続いているがここだけ直径30cmはあろうかという孟宗竹の竹林が密集していた。
moumou:「でかいなあ、この竹。こんなの今まで見たことないですよ。パンダでも住んでいそうですね。」
すいすいさん:「あれ、向こうの奥、竹がやけに揺れていますよ。」
謎の人物:「おーりゃー、どーりゃー、どかんかいどかんかい、待てーcharingoー!」
angiras6さん:「出たー!あれが噂のMTB5寸釘パンク星人や」
謎の人物:「誰がMTB5寸釘パンク星人や?たまたま1日に3回パンクしただけですよ。たまたま5寸釘を踏んづけただけですよ、何か?」
tac-phen:「ひゃー、何か?言うたで、間違いなくFuelさんやろ?でもなーんか若くない?若すぎない?」
Fuelさん:「いやね、20年前の記事を書き始めたら思い出せなくなってcharingoはん誘って現場へ行ってみたんですわ、そしたらまたまた5寸釘を踏んづけて急に目眩がして気がついたらここですわ」
カレーパンマンさん:「そ、そ、そ、それはまさにタイムワープ。例の5寸釘で空間に切れ目が入ったんでしょうね。」
めぇてるさん:「それでお若いままこの時代にいらっしゃるのですね?でも防護ポリマーもなしに長時間外を走るのは危険です。」
Fuelさん:「そうなんですよね。だから竹林から出ないようにして中を走り回ってもう一度昔へワープできへんかなとおもっとるんですわ。」
moumou:「なるほどー、それで火口の竹林の中だけを走り回っていて声しか聞こえないと言われていたんですね。でももう一度ワープするとなるとそれなりにパワーが必要でしょう?できるのかなあ?」
すいすいさん:「もしできなかったら?」
moumou:「本来であればこの時代にも実は年取ったFuelさんとcharingoさんはいらっしゃるわけでそれが時空が捻じ曲がったお陰でダブルで存在することになって下手すると消滅してしまいますよ両方とも」
すいすいさん:「えー!?そりゃあまずいじゃないですか。」
angiras6さん:「こうなったら全員で竹林を爆走してワープを起こしましょう。ところでcharingoさんは?」
Fuelさん:「すぐ戻ってくるはずですよ。あのときの状況を再現しとっただけですから。」
そうこうしているうちにcharingoさんが戻ってきた。やはり若い。
charingoさん:「うわー皆爺婆になっちゃって。全然わからないところでした。」
tac-phenさん:「なんちゅう挨拶しとんねん。これから何とかして戻してやろうとしとんのに」
charingoさん:「いやーあまりの変化に・・・。でも本当に戻れるんやろうか?いくらあのときの状況を再現しても戻る気配すらないんですけど」
すいすいさん:「やはり鍵は5寸釘かあ。いっそ竹林の中に5寸釘を敷き詰めて皆でパンクしまくりますか?」
カレーパンマンさん:「それだー、それいいよね。あーでも5寸釘どこにあんだー?」
angiras6さん:「あのー、一応釘なら一杯持ってんだけど。これとかどう?」
カレーパンマンさん:「おー、それそれ、って何で持ってんの?5寸釘。」
angiras6さん:「ウクレレの修理とか、本棚の修理とか、いろいろ必要でしょう?男たるもの常にこのくらいの装備は常識です、きっぱり」
tac-phenさん:「相変わらずやなあ。じゃあこれを全部ばらまいて・・・。さあてじゃあ皆でこっちから思いっきり駆け抜けようや」
moumou:「じゃあ先頭はカレー君で、最後尾はFuelさんね」
こうして100mほどにばら撒かれた5寸釘の上をこれまた100mくらい手前から爆走して5寸釘を踏み散らしその中をcharingo,Fuelの両名を走らせる作戦である。
カレーパンマンさん:「じゃあ、行くよ。」
charingoさん:「ちょっと待った。せっかくなんでもう1日だけこのまま遊ぼうか?なあ、駄目かなあ」
カレーパンマンさん:「二人の好きなようにすればいいですよ」
すいすいさん:「そうだねえ」
ということでもう1日このメンバーで遊ぶことになった。なーにやってんだか、つづく・・・